投票前に是非観ておきたい、映画「100,000年後の安全」が無料公開。

投票前に是非観ておきたい、映画「100,000年後の安全」が無料公開。

僕達は10万年後にまで影響を及ぼす負の遺産を残してしまった

 1月23日(木)に東京都知事選挙が告示され、「脱原発」が争点の1つとして再び大きくクローズアップされている。そんな中、YouTubeにあるドキュメンタリー映画が全編無料公開された。デンマーク生まれのマイケル・マドセン監督による「100,000年後の安全」(日本語吹き替え版:79分)である。この映画はフィンランドに建設されている放射性廃棄物の最終処理施設「オンカロ」をテーマとしたもので、「3.11」直後の2011年4月に日本でも公開され話題を呼んだ。

 現在、世界に存在する放射性廃棄物の量は20万トン〜30万トン。この“繁栄の代償”とも言える使用済み核燃料をどうするのか……? プルトニウム239の半減期は2万4000年である。いまのところ放射性廃棄物は地上の専用プールに格納されているが、災害/戦争などによって施設が破壊されてしまう可能性は捨て切れない。実際、人類は直近の100年間で世界大戦を2度も経験しているし、東日本大震災をはじめ、世界各地で大規模な自然災害が頻発している。そこで、フィンランド・オルキルオト島の地下500メートルに「オンカロ」と呼ばれる最終処分施設が計画された。想定貯蔵期間は放射性廃棄物がほとんど無害になるまで、つまり10万年である。

 この「オンカロ」は、収容可能なスペースがすべて一杯になる100年後にコンクリートによって密閉される。しかし6万年以内には氷河期の到来も予測され、10万年後の人類がどんな文明を有しているかはわからない。氷河期を生き延びた少数の人類が原始的な生活を営んでいるかもしれないし、現在より高度な技術と共にさらなる進化と繁栄を遂げているかもしれない。いずれにせよ、数万年後、未来の人類が「オンカロ」の封印を解いてしまったら……?

 とはいえ、いまから10万年前の地球に暮らしていたネアンデルタール人が何を考えていたか、現代のわれわれには理解できない。当然、10万年後の人類は現代のわれわれが考えていたことを理解できないだろう。従って、映画の中では「現在の言語による記録をメッセージとして残しても意味がない」と主張する科学者もいる。むしろ「記録を何も残さずに忘却してしまうべきだ」と。人間は10万年後の世界を想像することすらできないのに、10万年後にまで確実に影響を及ぼす負の遺産を残してしまったのだ……。

 「100,000年後の安全」は、東京都知事選挙の投票日翌日の2月10日正午まで観ることができる。商業的な観点に立てば、DVDとしてもリリースされている映画の全編をYouTubeで無料公開するというのはナンセンスだろう。しかし“いまこのタイミングで”、同作品がより多くの人々に観られることにはビジネスを超えた意義がある。その決断を下した関係各位には拍手を送りたいし、改めて動画投稿というカルチャーの可能性の大きさを思い知る。

*紹介していた動画は2月10日をもって非公開になりました。