「スマホの電源落としてみない?」って動画が、いま、スマホで世界一観られているという現実。

「スマホの電源落としてみない?」って動画が、いま、スマホで世界一観られているという現実。

ソーシャルメディアの可能性をもう一度じっくり考えてみる

 今年の2月に「UPLOAD」で掲載した「大切な時間をスマホで無駄にしないためのコカ・コーラの秀逸なソリューションとは」という記事、あっという間に話題となって、Facebookでは17,000人いいね!を獲得した。これは誰かと会っている時などにスマホを観れないようにする「ソーシャルメディアガード」というアイテムの紹介動画で、観ていただければわかるように、コカ・コーラが仕掛けた、いわばお笑いネタである。

 しかし、この動画が話題になり、共感を呼んだのには、やはり程度の差こそあれ、「こういう状況って、まぁ、おかしいと言えばおかしいよね」という共通認識があったからだ。今回紹介するのはコカ・コーラがお笑いネタとして提示した問題を、美しい映像と共に真面目に扱った大ヒット動画。この「Look Up」、公開から約3週間で既に3500万回以上再生されている。各国の再生回数ランキングでも、ここしばらくずっと1位になっている作品だ。

 「僕には422人の友達がいる。でも、まだ孤独だ……」という語りかけで始まる「Look Up」は、ソーシャルメディアがもたらした我々のライフスタイルに一石を投じる動画であり、スマホの画面に目を落としている間に人々が失いつつある何者かに思いを至らせてくれる。「人間性の回復」「リアルの復権」などと言うのは簡単だし、そうした陳腐な言説は以前から存在するわけで、受け取りようによっては、この動画をそんなふうに解釈する人もいるかもしれない。

 しかし、「Look Up」のメッセージがスマホで動画を観ている多くのユーザーに支持されているという、その矛盾が興味深い。いま我々はソーシャルメディアというものを、一度立ち止まって考えるみるべき時期に来ていることは確かだ。それは過剰な没入は害悪というような類のものではない。むしろ、「ソーシャルメディアが秘めている可能性を、我々は本当にうまく引き出すことができているのか?」といったことである。

 ソーシャルとは何か? メディアとは何か? そうしたことをじっくり考えるためには、一度、スマホの画面から「Look Up」する必要があるかもしれない。この動画の作者であるGary Turkの「スマホから顔を上げてみよう、ディスプレイを落としてみよう、ビデオを観るのをやめてみよう、そして、リアルに生きてみよう」という最後のメッセージは、おそらく、単なるソーシャルメディア批判ではいように思う……。