ハードウェア&ソフトウェア総論 vol.01

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パソコンと動画の歴史

 この連載では、動画制作に必要なハードウェアやソフトウェアの基本的な知識や情報を紹介していく予定だが、第1回目は、まずパソコンによる動画作成や編集の歴史を振り返ってみたいと思う。
 動画とは、読んで字のごとく動いているように見える画像だが、実際には連続した静止画を高速に切り替えて表示し、個々の静止画の違いを目の残像現象によって動いているように見せている。この1枚1枚の静止画像を映画ではフィルムの1コマ1コマに焼き付けているが、パソコンやスマートフォンなどではそれをデジタルデータとして記憶している。
 You Tubeやニコニコ動画などをはじめ、今では当たり前のように自分のパソコンなどで動画を作成したり再生したり、その作品をネットで簡単に公開できようになったが、その歴史はわずかこの20年足らずのことだ。

QuickTimeの登場

 パソコンで初めて動画を扱えるようにしたのは、今をときめくiPhoneやiPad、Macでおなじみのアップルだ。1991年にアップルがMac OS用のメディア技術として発表した「QuickTime」は、それまでテレビ局やビデオ編集スタジオでしかできなかった高度な動画編集作業を自宅のパソコンで簡単にできる第一歩を築いた。その翌年にはマイクロソフトがWindows向けに「Video for Windows」を発表し、最初のパソコンによる動画作成ブームが起こる。
 ただし、この時代は動画をデジタル記録できるビデオカメラが一般向けに発売されておらず、パソコンで動画編集をするにはアナログのビデオ信号をパソコンに録画しながらデジタル変換する特殊な機器が必要で、えらく手間や費用のかかるものだった。このため、マニアやプロ以外にはまだまだ敷居が高く、今ほどパソコンで動画を作るのは一般的ではなかった。

1990年代前半は、キャプチャーボードと呼ばれる大型のカードをパソコンに内蔵し、アナログの映像をデジタルデータに変換する必要があった。

デジタル時代の到来

 こうした状況が大きく変化したのは、90年代半ばに動画をデジタル信号で記録するDVカメラが登場してからだ。DV方式のカメラでは、撮影時に動画をデジタル化して記録する。したがってDVで撮影した動画は、あたかも外付けのハードディスクからデータをコピーするような感覚で、パソコンとビデオ機器をケーブル1本でつなげばパソコンにデータを取り込める。特殊な機器を買わなくてもケーブル1本でできる手軽さが受けて、この頃から少しずつパソコンによるビデオ編集が一般にも浸透し始めた。
 この流れをさらに加速させたのが、1999年にアップルが開発した「iMovie」の登場だ。初心者でも簡単な操作で動画を本格的に編集できるビデオ編集ソフトが無料で公開されたことにより、DVカメラとMacさえあれば、誰でも動画制作ができるようになった。2000年には、マイクロソフトもWindows Meにビデオ編集ソフト「Windowsムービーメーカー」を標準装備し、WindowsでもMacと同様の環境が実現した。
 近年はデジタルカメラや携帯電話の高性能化によって、ビデオカメラ並みの高画質な動画をいつでも撮影できる環境も身近になってきており、動画制作の敷居はさらに低くなっている。

1999年にアップルがMac用に無償公開したビデオ編集ソフト「iMovie」。洗練され分かりやすいユーザーインターフェースと簡単な操作で手軽に動画を編集できる。

ネット時代の幕開け

 動画制作の環境が身近になり、気軽に動画が作れるようになると、自然の流れとして、その作品を発表したいという欲求が出てくる。ところが動画は静止画の写真などに比べてデータのサイズが膨大で、2000年頃までのインフラでは動画を公開できるメディアはCD-RやDVDなどに限られていた。
 現在の動画ブームを招来した主な要因は、ブロードバンド回線の一般家庭への普及、Flash VideoやMPEG4のような新しい動画技術の開発、動画投稿サイトの登場の3つだ。最初の2つにより、自宅やモバイルでも動画の再生や転送が可能になり、携帯電話やデジタルカメラがビデオカメラと同様の機能を実現することができた。そして、2005年に世界初の動画共有・投稿サイト「YouTube」が登場すると、ユーザーは自分の映像をアップロードして世界中に公開することが可能になり、ご存知の通りさまざまな動画が発信されるようになった。
 次回は、動画制作に必要なファイルフォーマットと具体的なアップロードの仕方を紹介する予定だ。ではでは、次回をお楽しみに!