戦争に巻き込まれる女の子に胸が引き裂かれる動画と世界の動向

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 この動画は4日間で2000万回も再生された。公開と同時に世界中を駆け巡り、今でも各国のYouTubeの動画ランキングでトップ10に入っている。

Most Shocking Second a Day Video

 この動画を見た時の感情を世界中の人々が共有し、「戦争は間違っている」というコメントがYouTubeのコメント欄に並んだ。しかし、毎日のようにYouTubeで戦争や紛争の動画をチェックしてるとうがった見方をしてしまう。

 確かに動画の内容はショッキングだ。自分の国の子供達がいつ戦争に巻き込まれるか分からない状況かもしれない。動画の最後でシリアの子供達を助けようというミッションも素晴らしいと思う。それでもなお、戦争に関するショッキングな動画はかなり危険なニオイがする。

YouTubeにアップロードされる戦争動画

 チュニジアで始まったアラブの春は中東の他の国に飛び火し、リビア、エジプト、シリアでは市民革命のような『市民vs独裁者』の構図が出来上がった。

 アラブの春以来、YouTubeには戦争動画が沢山アップロードされている。中にはショッキングなものもあり、シリアの動画の記事もUPLOADで取り上げた。しかし、この動画の意見があまりに市民側よりだったので、政府側の意見も取り入れるべきだと思い、政府側の動画を探した。しかし、1つも見つからなかった。

 シリアの現状をよくよく調べてみると、実は政府側にも言い分がある。チュニジアでも、リビアでも政府側が一方的に悪いわけじゃなかった。戦争は双方に言い分があり、どちらが悪いという見方をすることは危険だ。しかし、『市民vs独裁者』の構図が世界中の人々の目を眩ませている。

 YouTubeに市民側の見方の動画しか上がっていない事は、何かおかしいと感じなければならない。

戦争前の中東の国々の実態

 中東を旅した事がある人なら誰でも知ってる。中東の国々はテロリストの国なんかではけっしてない。ニュースなどでは「圧政に苦しめられていた」という見方が宣伝されているが、貧富の差さえあれ、どこの都市に行っても市民は幸せそうに暮らしていた。圧政に苦しめられている感など何処にもない。リビアでは各家庭に一軒家が無料で与えられ、病院、教育、基本的なライフラインは全て無料だった。なのにカダフィは独裁者として殺された。

 『市民vs独裁者』という構図を持ち出せば世界中の人々が市民を応援してしまうことを市民側のバックにいる国々は知っている。大事なことは、戦っているのはその国の市民や軍だが、バックに居る国は戦っていない。この『コントロールされた市民革命』では、どっちが勝ったとしても傷つくのはその国の人々で、バックに居る国々ではない。

 シリアのアサド大統領が「これは内戦ではなく、新しい形の戦争だ」と言うように、市民側のバックには他の国の大きな思惑が蠢く。もちろん、政府側の後ろにも違う国の思惑がある。

 幸せに暮らしていた人々が突如、目的が分からない内戦に巻き込まれ、敵味方に別れさせられている感がしてならない。幸せに暮らしていた人々が、何故革命を起こさなければならないのだろう。

 ここに『独裁者』というコンセプトが必要になるのだ。

セーブ・ザ・チルドレンの動画で分かるYouTubeの政治利用と可能性

 話を戻してセーブ・ザ・チルドレンの動画だが、この動画自体は平和利用に用いられているのだろう。しかし、この動画の成功によって、世界中に一瞬で「戦争に巻き込まれる子供が可哀想」というコンセプトを広げる事が出来た事実は、今後のYouTubeの政治利用に結びつく気がしてならない。現にシリアやウクライナの内戦動画が沢山YouTubeにアップロードされている。

 一瞬にして世界中の人々に何かを伝えるメディアは今まで存在しなかった。しかし、セーブ・ザ・チルドレンの動画はそれが可能になった事を証明した。たった4日間で世界中の人々に戦争に関した動画を2000万回も再生させた事実はYouTubeが今や『全世界放送局』になったことを物語っている。

 大きな組織が意図的に同情を煽る動画は今後、かなり増えていくだろう。例えそれが平和利用の動画だったとしても、戦争に関するものであるなら、動画の内容をそのまま受け取る事が危険な時代になってきている。