Googleの社員達もハマる「ハーレムシェイク」

Harlem Shake

ハーレムシェイクに学ぶ、作品の新たな届け方

 3月のまさにDJ Baauerのためにあった。米・ビルボードランキングは2月末から、重要なランキング集計要素としてYouTube再生回数をカウントし始めた。Baauerはその2月末から5週連続ランキング首位の座に輝いた。それまでまったくの無名のDJだった彼を一躍トップの座へと押し上げた曲こそ、全世界で話題となっている「ハーレムシェイク」だ。
 Web上で大ヒットしたため、「第二の江南スタイル!」とも言われている「ハーレムシェイク」だが、両楽曲のヒットにはハッキリわかる違いがある。「江南スタイル」のようなPVは「ハーレムシェイク」にはない。無名だったBaauerにはオフィシャルビデオなどなかったのだが……。

DO THE HARLEM SHAKE (ORIGINAL)

ハーレムシェイクを世界で初めて踊った動画。コトの発端となった動画だけに、再生回数も4000万超! それにしても彼らは何を表現したかったのか?

The Harlem Shake v1 (TSCS original)

ハーレムシェイクを世界で初めてマネした(?)動画。驚くべきことに、動画の投稿日はオリジナルと同じ2月2日。このスピード感が大事!

 前者が爆弾を設置し、後者が導火線に火が点けた。それから1カ月足らずでこの爆風は各地に広まった。有名な場所やあり得ないシチュエーションでの撮影が話題を呼び、さらに30秒という手軽さがヒットのきっかけなったのだろう、たちまちムーブメントが巻き起こった。現在は1000万以上の動画がアップされている。
 「この動画がブーム!」という現象は珍しくない。しかし今回の「この動画をアップすること自体がブーム!」といった現象が世界中に広まったことが今までにあっただろうか?

The Harlem Shake (Google Office Edition)

Googleのオフィスで「ハーレムシェイク」。

The Harlem Shake (pixiv Office Edition)

pixivのオフィスでも「ハーレムシェイク」。

Harlem Shake (English National Ballet Style) HD **ORIGINAL**

イギリスの名門バレエ団「English National Ballet」も「ハーレムシェイク」。

UGA Men’s Swim & Dive Harlem Shake

ジョージア大学の学生はプールの中で「ハーレムシェイク」。

Harlem Shake (original army edition)

そして、ノルウェーの軍人さんたちまでもが「ハーレムシェイク」。

Harlem Shake In Tokyo

渋谷の街中でも「ハーレムシェイク」。

 この楽曲が「無名のDJによって作られたこと」、そして「YouTuberによって広まったこと」という2つの要素は、今回のブームにおいて重要な要素である。1動画につき平均10人が踊っていると仮定すれば、結果としてこの楽曲が1億人以上を踊らせたことになるからだ。
 多くの人に届くものは、有名な人にしか作れない? それは違う。「ハーレムシェイク」は動画という形式とYouTubeというメディアを武器にそのセオリーを乗り越えた。初期の投稿者たちにそこまでのつもりはなかったにせよ、「ハーレムシェイク」ムーブメントは確実に全世界へと浸透していった。
 作品を届けるには意図・計算という要素もたしかに必要だ。しかし今や、それだけではない足りない。誰かの表現の素材となり得るかどうかが重要なのだ。今回の「ハーレムシェイク」もまさにそうで、Baauerの楽曲が素材となり、YouTuberたちの計算のないアイデアが動画の原型となった。
 多くの人に届けるために、そんな素材をひとつでも多く発信しつづける……。ハーレムシェイクに学ぶ、新たな作品の届け方だ。爆発的なブームの中心にあるのは、だれかの純粋な思いつきなのかもしれない。